シンプルさに潜むパワー:ホワイトTシャツ

マーロン・ブランド(Marlon Brando)とジェームズ・ディーン(James Dean)が銀幕に登場し、ポップカルチャーを代表するようになった50年代初期以降、ホワイトTシャツとジーンズのスタイルは、ハリウッドの反骨精神の象徴とされてきました。

最初にブランドが『欲望という名の電車』(1951年)や『乱暴者』(1953年)に登場し、ディーンが『理由なき反抗』(1953年)でそれに続きました。この2人が、クールさの定義を書き換えたのです。

クルーネックの無地のホワイトTシャツにジーンズの組み合わせは、ファッションの波に左右されないタイムレスな魅力を放つクラシックなスタイルとして定着しました。ビジネス界におけるスーツと同様、言動に頼らず、個性を際立たせるのです。

現在では日常的なカジュアルウェアとなっているジーンズとTシャツも、50年代までは、労働者階級特有のスタイルでした。建設現場やエンジンを扱うような肉体労働者だけが、デニムを履き、上着を脱いで、当時の下着であったTシャツ1枚で働いていたのです。第二次世界大戦の開始と共に、兵士が軍支給のホワイトTシャツをアウターとして着用して帰還するようになり、ホワイトTシャツは男らしさ、行動力、パワー、精進のシンボルとなりました。

先駆的なブランドやディーンのピンナップに触発された50年代の若者たちは、親の世代の通例だった、上品でかしこまった日曜礼拝用のスーツやドレスを拒むようになりました。正装よりもカジュアルスタイルの方がクールだと、初めて考えられるようになったのです。こうして、ティーンエイジャーの間でTシャツを着ることが一般的になりました。どのスタイル派も、ホワイトTシャツの無地のキャンパスに独自の解釈を加えました。ジャック・ケルアック(Jack Kerouac)などのビートニク(ビート・ジェネレーション)をはじめ、グリーサーズやロックンローラーズは、堅苦しい社会への軽蔑を込めて、ホワイトTシャツを身につけました。

しかし、この新しい動きに一番の影響を及ぼしたのは、ハリウッドの象徴、ジェームズ・ディーンでした。1955年に24歳の若さで彼が急逝すると、一層の拍車がかかりました。彼の死後に上映された最後の出演映画『ジャイアンツ』の予告編で、ディーンは「悩める若者の代表格として、これまでも、そしてこれからも唯一無二の存在」と謳われています。そうした謳い文句 – そして彼の平然とした反抗的なイメージは、60年後の今でも生き続けているのです。

ディーンの後も、アイコン的存在が相次いで登場しました。ディーンをアイドル視していたエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)は、彼の後に続こうと、ファッッションのみならず、演技にも挑戦しました。映画『グリース』のジョン・トラボルタ(John Travolta)とヘンリー・ウィンクラー(Henry Winkler:ハッピーデイズの「ザ フォンズ」役で有名)も、反抗的なロックンロールスタイルを大きく後押ししました。

エルフルトで行われた国際モーターサイクルレース「シックスデイズ」の開催中に休憩する米国俳優スティーブ・マックイーン(Steve McQueen:右)
1964年、ドイツ民主共和国(GDR)のエルフルトで行われた国際モーターサイクルレース「シックスデイズ」の開催中に休憩する米国俳優スティーブ・マックイーン(右)

1955年、写真家のイヴ・アーノルド(Eve Arnold)は、アクターズ・スタジオの観客席で熱心に聞き入っていた若手俳優の姿を捉えます。彼は、観客の中でただ一人、ジーンズとホワイトTシャツという軽装の出で立ちでした。彼の名は、ポール・ニューマン(Paul Newman)。1960〜70年代を通して、ポール・ニューマンとスティーヴ・マックイーンは、クールの代表格でした。男性は彼らのようになることに憧れ、女性は熱烈な視線を送ったのです。ほぼどの写真を見ても、彼らの装いは極めてシンプルで、タイムレスな魅力を放っています。今でも、彼らのスタイルは色褪せていません。デヴィッド・ベッカムに聞いてみてください。

ここで注目したいのは、若い女性たちも、カジュアルで開放感のあるジーンズとTシャツのスタイルを取り入れるようになったということです。グレース・ケリー(Grace Kelly)、ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)からソフィア・ローレン(Sophia Loren)、マリリン・モンロー(Marilyn Monroe)に至るまで、世界に名を馳せるスター達が、このスタイルをフェミニンなスタイルとして定着させました。それは、現代の反骨精神を代表するケイト・モス(Kate Moss)やラナ・デル・レイ(Lana Del Rey )などにも受け継がれています。

『ダーティファイター』(1978年)のクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)や『オンリー ゴッド』(2013年)のライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)に見られるように、絶妙なカットのTシャツが男性の鍛え上げられた体を際立たせるのと同様、身体のラインにフィットするコットンTシャツとハイウエストのジーンズの組み合わせは、女性的な曲線を際立たせます。

ホワイトTシャツとジーンズの組み合わせは、いつの時代でも、若者の自由の精神、そしてクールな反骨精神を代弁するスタイルなのです。

ダン・ルックウッド:

mrporter.comの米国編集者

ストーリーの関連商品を購入する

共有する